人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?/山本一成
最強将棋ソフトponanzaの開発者の山本氏が書いた『人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?(ダイヤモンド社)』を読了しました。将棋ソフトや開発者に関する本はいくつか読んでいますが、待ちに待った真打ちの登場です。
副題に「最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質」とあるように、これら3つの学習を通して、ponanzaがどのようにして強くなっていったのかを分かりやすく解説しています。ただ、流行のディープラーニングを紹介するに当たり、将棋ではなく囲碁を題材として解説しているので、将棋との関係の点では分かりにくくなってしまったように思います。
ディープラーニングの仕組みについては、得られた情報を画像と結びつけてよく説明されるので、それなら囲碁を例に取れば読者に伝えやすいということで選んだと思うのですが、盤上と盤外に駒が出入りする将棋というゲームで、どのようにディープラーニングを使って将棋ソフトを鍛えていくのかというところを知りたかったです。
最終章で、ここ半年に起きた画期的な出来事として、pononzaにもディープラーニングを組み込むことができたと山本氏が報告しています。それがなぜ出来たかと言うことについては数行でさらっと説明されていますが、その詳細についてはまた次回ということでしょう。
それともうひとつ。将棋ソフトに大きなブレイクスルーを起こしたBonanzaについては触れてほしかった。コンピューター将棋の歴史を語る上では絶対にはずせないと思うのです。
人工知能の最前線で活躍されている著者の興奮が伝わってくるスリリングな本でした。
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