寄稿:牧志駅前将棋クラブの思い出とお別れ会・後編
私のお別れ会に話を戻す。そもそも、この会を企画してくれたのは、S瑛くんのお父さんのK城さんだ。彼はご自身の将棋の腕前も相当だが、指導者として大活躍している。子供たちのつまずきの原因を分析して、画期的な指導方法を確立している。熱いパッションと明確なヴィジョンを持ち、目標に向けて筋道をつける能力がとても高い方で、対人能力にも優れている。ただの面白いおじさんではない。そんなK城さんが企画してくれた会だから、最高に楽しかった。
記念大会ということで、9人で変則トーナメントを行う。銀河戦形式と言えば分かっていただけるだろうか。優勝者には、私の名前のタイトルが与えられ、以後、公式の大会に出場する際にはその名前を用いなければならない。私は、トーナメント表の一番左からスタートする。私が優勝するためには8連勝することが必要である。K城さんは審判長として大会に参加した。なお、審判長の判定は絶対である。
初戦は変態将棋のH川さん。互いに一歩も引かない強気の応酬で、強烈なパンチを食らって悪くなったところで、H川さんにミスが出て逆転勝ち。問題は2戦目である。相手はあのS瑛くん。ここが鬼門である。私は得意の急戦矢倉を仕掛けた。私がよくなったようにも見えたが、難しい将棋が続く。そして、ついに私の玉が詰まされてしまったのだが…。
しかし、S瑛くんは銀を使って詰ましてしまった。審判長は、S瑛くんの反則負けを宣言した。S瑛くんは、「本局では銀を使って詰ましてはいけない」という取り決めをうっかりしたらしい。危ないところだった。…とまあ、こんな茶番もありつつ、私は8戦全勝で(実は7戦目も反則勝ち)気持ちよく優勝して記念大会を締めくくった。
沖縄生活の最後に、将棋仲間との真剣勝負の場を作ってくれたK城さんには、本当に感謝している。優勝のお膳立てをして気持ちよく終わらせてくれたことも。こんな素敵なお別れ会はない。いただいた超長文の表彰状を見るたびに、この日のことを、沖縄での日々を思い出すことだろう。ありがとうございました!
とある東京出身の三段より
K倉さん、沖縄での楽しい思い出を胸に東京でもお仕事頑張って下さいね。
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