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2018年5月26日 (土)

寄稿 第41期久留米王位戦大会記④

二回戦に進んだ彼は「まず1つ勝ったから明日遊園地連れて行ってね!」と笑顔で言う。優勝したらね!と返すと、「任せとけ」と頼もしげ。この根拠のない自信はどこから来るのか。まったくうらやましい。本大会の審判を務められた中田先生からも一回戦の総評や感想、ご自身が幹事をされている九州研修会の事など、さまざまなお話を聞き、彼の表情が引き締まったような気がした。

二回戦の相手は宮崎県代表の方。最年少県アマ名人や学生大会での全国準優勝など実績棋力共に素晴らしい方との対局にうれしそうな彼。振り駒にて後手番。角換わりの将棋。先手から見て、48金29飛型の先後同型に進み、お互い手番を譲り合う展開から、後手番の彼が歩を突き捨て開戦。このあたりがやはり我慢ができない子供らしい一面が出た指し手。当然その瞬間に先手番から手筋のオンパレードであれよと言う間に形勢は先手大優勢に。1手差の形を作るのがやっとの完敗。

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棋譜確認のため指し手の再現が終わると、挨拶をかわし、すぐにトイレに駆け込む。低学年の頃は人目をはばからず悔しがったり、泣いたりしていたが、最近は一人になって気持ちの整理をしているらしい。悔しさを次につなげる彼の儀式だろうか。今回の儀式は長かった。心配になり探しに行った。明後日方向から小走りで戻ってくる。気持ちの整理ができたようだ。「負けた」とつぶやいた。頭をポンと叩き、また勉強だな。と言って二回戦の相手に感想戦をお願いした。

対局後お昼休憩をはさむスケジュールに恵まれ、宮崎県代表の方と食事をしながらじっくり感想戦。とても細かい変化や手順まで勉強させてもらい、彼にとっては格別な時間となった。別室で感想戦をしている様子をガラス超しに見守る。とても楽しそうだ。将棋を通じて年齢も住む場所も違う二人が意気投合し笑顔。前夜祭の彼とは別人のようだ。将棋の持っている力、素晴らしさを改めて感じた。次の対局を控えているにも関わらず彼に付き合っていただいた宮崎県代表の方にも感謝するばかりである。

Kurume42

トーナメント敗戦後、すべての対局者は別室でインタビューを受ける。彼も別室にてインタビューを受けた。テーブルの上に敗退者の名札が無造作に置かれていた。インタビューが終わると、そこに名札を戻し、彼の挑戦は幕を閉じた。

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つづく

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